ジャニヲタと英語詞

 先日、卒論の一環でジャニーズソングの英語歌詞への意識調査アンケートを取らせていただきました。ご協力くださった方々本当にありがとうございました。読んでいて肩が凝らないよう、できるだけ砕けた感じで書くよう努力します。

 「J-POPを利用した英語学習へのモチベーション向上」が私の卒論のテーマでした。J-POPの歌詞に使用されている英語はネイティブが聞くとこれ変!ってのが多いですが(外国人の入れる日本語タトゥーみたいな)好きなアーティストの歌詞の単語の意味などを調べるうちに英語学習への意識を高めることができないだろうか、というものです。私も英語を習いたての時、少年倶楽部のEDでJr.が歌っていたテゴマスの「マルイチカラ」のちびジュパート(裕翔くんはこっち)の英語の歌詞の意味が知りたくて、テレビを一時停止して歌詞を書き留めて辞書を引いていた思い出があります。

 実際の論文では現在の学生の英語力や日本人歌手が英語の歌詞を歌う上での困難なポイントなどを書き連ねていたのですが割愛してアンケート結果について書きます。
 
 Q. あなたはどのアイドルのファンですか(3グループまで選択可)
 f:id:sogabe8:20160119201856j:image
 拡散ツイートを流したアカウントの関係もありHey!Say!JUMPと関ジャニ∞のファンの方が多いです。(Hey!Say!JUMPのファン層で一番多かったのは17~22歳でした。)

 Q.アイドルの歌詞で分からない英語が出てきたときあなたはどういう対応をしましたか
f:id:sogabe8:20160119201907j:image
 ここで「単語の意味を調べた」「誰かに聞いた」を選んだ約60%の人をグループAと括ることにします。グループAの人たちの97.7%が「わからなかった英語の部分も理解したいと思う、どちらかといえばしたいと思う」と答えています。私の一番ほしかった回答をしてくれた人たちです(笑)
 「自動翻訳サイトで翻訳した」を選んだ13%の人たちをグループBと括ることにします。グループBでは92%の人が英語の部分まで理解したいと答えています。確かに新曲とか出ると英語詞をグーグル翻訳で訳したスクショをツイッターに貼って「こういう意味なんだ><キャー><」ってやってる人たちは一定数いますよね。
 自動翻訳って便利ですよね。超長い英文とかでも単語の訳を拾いながらなんとなくの意味なら察することができるし。でも、歌詞には使うべきじゃないと思います。そもそも自動翻訳っていうのは文法の構造が似てる言語同士でなら結構うまくいくけど、日本語と英語なんてほぼ真逆の文法構造で機能するわけがないんです。例えば、イギリスに5年間の留学経験のある岡本圭人くんが作詞したHey!Say!JUMPの「Hero」のこの歌詞。
「If there’s a favor for me to do, It’s a piece of cake!」
Google翻訳さんに頼むとこの有様です。
 f:id:sogabe8:20160119201952j:image
 歌詞の流れをくみ取って大幅に意訳するとしたら「頼まれ事だってなんだって朝飯前さ!」という感じでしょうか。ね、自動翻訳ってあてにならないでしょ。行間を読むことも流れをくむこともできないなんて、せっかくの歌詞の世界観をぶち壊しにする行為に等しいのでは、と私は思っています。せめて辞書アプリ!入れよう!
 
 アンケート結果に戻ります。歌詞の中で分からない英語が出てきた時「どうもしなかった」と答えた26%の人たちをグループCとします。グループCでは英語の部分まで理解したいと思う人の割合は62%にまで落ちます。しかし「英語は好きですか?」という質問に対しては「普通」が25%、「好き」「どちらかというと好き」が合計33%越えなので60%以上の人が英語に対してネガティブな姿勢ではないということ。なのになぜ、英語の歌詞に対して何もしなかったのか?この辺がアイドルファン特有の心理につながってくると私は思っています。
 
Q. アイドル自身が歌詞の意味を知らないまま歌っていたらどう思いますか
 個々の解答が一番面白くて非常にボリュームがありました。選択式ではなく自由回答にしたのですが、一括りにジャニヲタといえどこんなにも差があるのだなあと改めて。852人分全部ちゃんと読みました。
f:id:sogabe8:20160119202006j:image
 全く同じ質問をアイドルファンではない現役高校生に聞いた時の結果と比較したものです。歌詞の意味が分からないまま歌っている状態を肯定する人の割合がかなり違うのが分かります。
「曲の世界観にあった歌い方をしているならそれはそれであり」
「面白いエピソードが増えてよい」
「個性に愛おしさを感じるので良い。完璧じゃないからこそ人間味を感じる」等

 そして、肯定的な意見を出した15%のジャニーズファンのうち、7%、人数にして63人が「かわいい」という意見でした。
「お馬鹿でカワイイ」
「Tell me why という歌詞で電話をかける仕草をしていたが、自分の応援しているアイドルだったためカワイイと思った」
「かわいい。かわいいに尽きる。」等
 ちなみに肯定的な意見を出した133人のうち5人の方が関ジャニの仕分け∞での横山君の発言に触れていました。
f:id:sogabe8:20160119204955j:image
関ジャニの仕分け∞高卒認定試験受験企画より。当時横山さんは32歳。関ジャニ∞にはDo you agree?というグループとして最古のオリジナル曲があります。)

 日本のアイドル産業にはファンがアイドルの成長過程を楽しむという特殊な文化があります。これは女子アイドル界隈において顕著に表れますが、男性アイドルのファンにも多く見られます。その理由の一端として、アーティストとは違い、アイドルは歌、踊りだけでなくバラエティ要素、演技力、そして個々のキャラクターまでもが求められます。個性はファンを獲得するための大切な要素のうちの一つです。先述した横山さんのエピソードも番組内では面白おかしく紹介されていました。「お馬鹿キャラ」という個性に愛おしさ、親しみやすさを感じるファンも少なくありません。そういう意味ではこの肯定率も理解できます。

 逆に否定側の意見には厳しいものからケースバイケースというものまで様々な意見が集まりました。
「歌が人に与える影響は大きいので責任感を持ってほしい」
「自分が分かっていないのに何を伝えたいのか」
「たとえ意味のない曲だとしてもその意味のなさを知りながら歌ってほしい」
「アイドルとしてならよいが、歌手としてそれ以上は見られない」
「盛り上げ系ならよいが、バラード系の曲であればプロとしてキチンと意味を理解したうえで歌うべき」
「理解したうえで歌ってくれていないと心に響かない。その事実を知った時点で心に響かなくなると思う」等
 首が痛いぐらい頷きながら意見を読んでいました。私もアイドルには歌詞の意味をある程度分かったうえで歌ってほしい人です。中には「そんな状況を想像したこともなかった、意味を分かって歌っているものだと思っていた」という意見もありました。

 当然の結果といえばそれまでですが、歌詞がわからず歌っている状態への肯定意見の割合はグループA→B→Cの順番に増えていました。何を歌っているかよりも誰が歌っているかに重きを置いているファンが増えるからだと思います。
 しかし意外なことにグループC(わからない英語詞があっても何もしなかった)のうち65%の人はアイドルがわからないまま歌うことに対して否定的な意見でした。卒論では、この65%の人たちがアイドルの歌詞の内容に興味を持つようになれば、英語学習への第一歩が踏み出せる、と締めました。

 現在のジャニーズにおける英語を見てみると、デビュー組に限っても岡本圭人マリウス葉中間淳太とインターナショナルなタレントがいます。(スライドそのまま利用ですみません)
 このように外国語が堪能なアイドルが楽曲政策にかかわることによってジャニーズソングにおける英語のレベルも上がる、と私は考えています。ネイティブじゃなくても山下智久さんのように英語が堪能な方もいますし!たとえ間違っているへんてこな英語だったとしても「これは間違っている」ということに気づいて考えたところから英語学習は始まります。ということで、ジャニーズソングは十分英語教材になりうる!と、私は思います。

 もはや卒論を書く大学生としてではなく、ただのいちジャニオタとして集計結果を見、考えることが非常に楽しかったです。重ね重ね、ご協力くださったみなさん本当にありがとうございました。
 J-POPの歌詞、アイドルソングの歌詞にはおかしな英語がたくさんですが、英語に対して興味を持つきっかけには十分なり得ます。その上英語が分かるようになってしまえば、アイドルソングの歌詞の変な英語を見つけてクスッと笑うことだってできます。トンチキさが売りのジャニーズですから、これからもたくさん笑わせてくれることでしょう。私はそんなジャニーズが好きです。
 アンケート楽しかったけど大変だったので多分もう2度とやりません!(笑) これを読んだことで英語詞に興味を持ってくれるジャニヲタさんが一人でも増えたら嬉しいなと思います。ここまで読んでくれて本当にありがとうございました。
(追記)
 アンケートの最後、ご自由にどうぞの欄に応援コメントや興味を示した反応をくださった方々、本当にありがとうございました!辛い時読み返して頑張ることができました!ジャニヲタあったかい!><

Me( 2) 通常盤

Me( 2) 通常盤

(勉強になります先輩!)