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アイドル産業における逆転現象について

現代社会における逆転現象について

 

「アイドルにおける逆転現象」

 今まではコンサートやライブ、イベントなどにファンが行き、アイドルを「鑑賞する」「見る」というものがアイドル産業の根本にあった。しかし現在「会いに行けるアイドル」というコンセプトのAKB48の台頭をきっかけに、ファンが「見てもらう」「覚えてもらう」と言う行為を求めてライブやイベントに通う、という逆転現象が起きている。

 

 たとえば最近の女性アイドルなら一度は行っているであろう握手会、2ショット会、ハイタッチ会などにおいて、熱狂的なアイドルファンたちはいかにして自分のことを覚えてもらうか、印象付けることが出来るかと言うことに重点を置いている。CD一枚で15秒しか話すことが出来ないなら同じCDを何枚も何枚も購入し、30秒、45秒、5分、10分と自分の持ち時間を増やすのである。また他の追随を許さぬほど大量に購入しアイドルとの時間を楽しむファンは、ファンの間でも有名になる。彼らは「強オタ」「TO(トップオタの略)」と称されることもある。TOは古参(古くからそのアイドルのファンである人)も兼ねていることが多い。こうして彼らはアイドルに覚えてもらえている自分に喜び、毎度同じ服を着て現場に現れ、妙な言動で周囲に驚かれることに優越感と高揚感を味わうのだ。

 こうした流れの中、アイドル本人たちもファンの顔を覚えるのに必死である。めまぐるしい人の流れの中で30秒ずつ三回話した相手に「俺のこと覚えてる?」と聞かれるのである。記憶力が良く、以前話したことを覚えていてくれたりするアイドルは好感が持たれる。現に、先日のAKB総選挙で二位を獲得した柏木由紀は「握手会の女王」と呼ばれ、握手会での対応が非常に良いことをきっかけに現在の順位に上り詰めたと言っても過言ではない。

 

 このような風潮は女性アイドルだけに限らない。男性アイドル(ここでは基本的に握手会などを行わないジャニーズを例とする)産業においてもファンの「見て欲しい」「覚えて欲しい」という感情が渦巻いている。

 ジャニーズアイドルのコンサートでの応援グッズの定番にファンが思い思いにデコレーションを施した団扇がある。基本的によく使用されるのが応援するタレントの名前を大きく書いた名前団扇である。次いで多いのが「ピースして」「撃って」など、タレントにやって欲しいことを書いたファンサ(ファンサービスの略)団扇であろう。ファンはこの団扇を使ってタレントに対して自分の気持ちを伝えるのである。

 若いジャニーズタレントのコンサートで多いのが「四連団扇」というものである。一人が物理的に持てる団扇の限界は一本の手に一枚ずつの二枚であるが、団扇の面の部分同士を裏で貼りつけ、巨大なオブジェ化させてしまったものが四連団扇である。もはや団扇としての基本的な機能は果たさない。ファンはその四連団扇に自分だけのそのタレントの二つ名のようなもの(例:〇〇くんの小顔な部分が好きならば「小顔〇〇」、××くんのまつげが好きならば「睫毛××」など)を書く。このような団扇を作るファンたちの間ではこれらの二つ名は被り禁止とされており、自分だけの、に非常にこだわる。そして完成した団扇をコンサート中タレント本人に見せ、覚えてもらおう、反応を貰おうと躍起になるのである。これらの行為のためによりタレントに近い前列のチケットを手に入れるファンも少なくない。

 

このように、「見る」「鑑賞する」対象であったアイドルに対して「見てもらう」「覚えてもらう」という欲望をぶつけるファンが生まれるという逆転現象がアイドル産業において起こっていると私は考える。

 

 

 

「現代における逆転現象について」というレポートを課せられたついでにブログにも残しておこうと思って。私は否定も肯定もしませんが自分を見て欲しいという自己顕示欲のために他の人がアイドルを楽しむ権利を奪ったりすることに対しては完全に否定派です。